ポイント
この記事では、臨床実習、隣地実習でのメイクに悩む看護・リハビリ・薬学などの学生向きに、実際に病院で職員教育を統括している筆者がホンネで解説します。
学生でも買いやすいアイテムを使った好感度爆上がりメイクを教えます。
病院や施設で行われる臨床実習。
看護学生やPT・OT・STの学生のみなさんは、これから始まる初めての現場での勉強を想像して、不安と緊張で押しつぶされそうな気持ちだと思います。
特に女性の場合は、服装やお化粧、髪型についても、叱られたらどうしよう、と気になっているのではないでしょうか。
そこで今回は、学生や職員の教育担当者が実習中のメイクについてどう考えているのか、ホントのところを教えちゃいます。
実習生はメイクをしたら叱られる?
Yahoo!知恵袋や看護師のポータルサイトで時々見かけるのが
- 臨床実習でお化粧していたら指導担当者に叱られますか?
- 看護学生がメイクしていたら実習の成績に影響するって本当ですか?
という質問や相談。
普段の生活でしている学生メイクと医療従事者(の卵)としてのメイクが同じものでよいのかどうか、社会人経験がないみなさんにはそのさじ加減がわからないだろうな、と思います。
きっとここにたどり着いた皆さんも、同級生と相談しあったり、そんなサイトを読んで不安で押しつぶされそうになっているのではないでしょうか。
そういう質問コーナーの答えとしてよく見かけるのが「あなたは実習に何をしに来ているんですか?」「メイクする暇があったら良いレポートを書くべきでしょう!」というお叱りの回答。
厳しくも愛情のあるアドバイスです。
ただ教育担当のわたしとしては、そんな極端な先輩たちの発言、「ちょっと何いってるかわからない。」
具体的な理由は後ほど述べるとして、実際のところは、
ココがポイント
- 常識的なメイクであれば叱られることはほぼない
- ましてお化粧「だけ」で成績が下がることはまずない(そんなことしたらブラック実習)
というのが正解だと思いますから、あまり心配しすぎないでくださいね。
どんなメイクなら実習中でも大丈夫なのか
メイクをしたらNGということはないとして、ではいったいどんなメイクなら実習中も大丈夫なのでしょうか。
実習中のメイクは、あなたが楽しむためのものではない
普段のみなさんのメイクは、みなさん自身が楽しむもの、きれいでいるためのものです。
では、実習におけるみなさんのメイクは、つまり医療従事者としての皆さんのメイクは、誰のためにするものでしょうか?
実習におけるメイク、それは患者さんのためにするものであり、実習(というか職場でおこなうメイクとは)マナーとしておこなうものです。
患者さんが不快感を持たないこと、そして患者さんにご心配をおかけしないこと。
それが実習メイクではとても大切です。
患者さんに不快な思いをさせないメイク
最近は回復期リハビリテーション病棟のように、退院後を意識して日常に近い入院生活を送っていただく病棟もあります。
そういった場合はリハビリの一環として患者さんのメイクOKとすることがありますが、基本的に病院では、患者さんにはお顔の色を見せていただくため、すっぴんでの入院生活をお願いすることが多いですよね。
大人の女性の多くは、たしなみとして人前ではメイクするもの。それを禁じられるというのは、体調が悪いときとはいえ、お辛いお気持ちもあると思います。
そんな時に、一方では学生が派手なメイクをしていたら、患者さんはその配慮のなさに、不快な思いをされるかもしれません。
また、もともと薄化粧であれば崩れてもあまり気づかれませんが、しっかりメイクをしていた場合、崩れると汚く目立ってしまいます。
それでもおそらく実習中は、綺麗にお化粧直しすることはほぼできないでしょう。
はげた口紅やアイラインやマスカラがにじんで黒ずんだ目元は、自分が気になるよりなにより、向かい合った相手の方に不快感を与えます。
一日ほとんどメイク直しはできないと考えれば、崩れてもあまり気づかれない、軽いメイクがよいでしょう。
患者さんを心配させないメイク
若い学生さんの場合、普段であれば心身ともに健康で、ノーメイクであっても自然な血色があると思います。
ですが、実習中は寝不足や緊張で顔色が悪くなりがち。
そんなあなたたちのことをご覧になったら、患者さん、とくにご高齢の患者さんはきっととても心配なさいます。
そんなご負担をおかけしないように、顔色を補うためのメイクは必要だと私は思います。
もう一点、可愛すぎるメイクはプロらしさを損ないます。
みなさんは学生であっても患者さんにとっては専門家です。患者さんの大切な治療期間を学生の実習に使わせていただくのですから、みなさんはプロらしい見た目でお会いしましょう。
プロらしさのない見た目では、患者さんに不安を与えます。形から入ることもとても大切ですよ。
身だしなみの良い例・悪い例
ではもう少し具体的に、身だしなみの良い例と悪い例について考えてみましょう。
実習生の身だしなみ
良い例 | 悪い例 | |
---|---|---|
ヘアスタイル | ・目や肩にかかっていない ・染めていない (地毛が望ましい) | ・ボサボサで、目や肩にかかっている ・髪の色が不自然に明るい |
顔 | ・常に明るい表情をしている ・自然な眉 ・地味なメガネ ・薄めのナチュラルメイク | ・表情が硬い ・不自然な眉や無精ひげ ・派手なメガネ ・化粧が濃い |
腕・手 | ・爪を短く整えている ・腕時計などのアクセサリーを身につけていない | ・爪が長い ・腕時計やブレスレットを身に着けている |
ユニフォーム | ・サイズが合っている ・汚れやしわがない ・動きやすい靴を履いている | ・サイズが合っていない ・汚れやしわがある ・ユニフォームと調和の取れていない個性的な靴を履いている |
引用:里宇明元編「自信が持てる!リハビリテーション臨床実習」医歯薬出版.2015.
髪型やヘアカラー
髪の色については、病院や職種によってはスタッフにもヘアカラーの色番号まで指定していることもあります。
個人的には高校生か!と感じなくもないのですが、とりあえずは地毛にしておく方が無難でしょうね。
長さについては、ショートやセミロング以上なら迷わないと思いますが、中途半端なミディアムヘアは要注意。
結んだ方が良いかどうか判断できないなら短い尻尾になっても結ぶ方がよいでしょう。
それよりさらに気になるのは前髪。これも患者さん目線で考えて。
患者さんがあなたの横顔を見たときに表情が確認できるようにすることがとても大切です。
前髪がある人は目が隠れない長さをキープです。前髪を作っていない人は、ピンでとめてしまいましょう。
眉
眉については、今は細すぎる眉より太めの眉が流行ですが、細すぎも太すぎもアウト。
どちらかに転びすぎるのは悪目立ちのもとです。平行眉は若々しくて悪くないですが、極端な流行に走りすぎないように気をつけましょう。
まつげ
上の表には出ていませんが、最近当たり前のようになってきているエクステやつけまはどうでしょうか?
結論から言えば、どちらも白衣やユニフォーム姿に似合わないからやめた方が良いです。どんなアクシデントでとれるかわからないし。
どんなに短めでカールの弱いタイプでも、つけまはわかります。エクステはそれよりは目立ちません。
でも、スタッフでしている人がいるといかにもエクステしているってわかります。
そしてあまり似合わない…(ごめんね)
それはたぶんほかが薄すぎるメイクだから。
ほとんどメイクしていないのにまつげだけ長いとすごく不自然に見えます。
プライベートではバランスを取れるかもしれませんが、実習中は遊ぶ暇もないでしょう?(遊んではいけないということではありません)
薄くてもきちんとメイクしていたら、あるいは不自然さはないかもしれませんが、一人前に働いていないのに高いエクステつけに行っているの?なんていう、いらぬ詮索をされるのもかわいそうなので、実習中はしないようにしましょう。
ではマスカラは?
ナチュラルなタイプなら何も言われないと思いますが、ボリュームタイプを上下バシバシ、は清潔感に欠けるのでやめましょうね。
実習中は自分の失敗による悔し涙や患者さんや指導者の温かい励ましにうっかり涙がポロリ…ということもあります。
もしマスカラをつけるならウォータープルーフ、スマッジプルーフで黒い涙防止、が絶対です。
まつげは目立つパーツなので、無難が一番だと思います。
ネイル
これは学生ならしないと思いますが、ジェルネイルは当然のこと、たとえ透明エナメルであってもネイルのおしゃれは一切禁止です。
これはメイクのルール云々以前に、感染管理上必要なきまりごとです。
つけ爪やマニキュアは、実は細菌の温床。とくにはがれかかったマニキュアや取れかかったジェルネイルには細菌が恐ろしいほど繁殖します。
女性の医師や病院スタッフはフットネイルで楽しむようにしている人が多いです。将来はそのようにしてもよいかもしれませんね。
清潔は病院スタッフにとって最も大切な義務のひとつ。
ネイルはあきらめるとともに、手洗いをしっかりしましょうね。
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薄めのナチュラルメイクって?
上の表にもあるし、ネットで見るアドバイスにもよく出てくる表現、薄めのナチュラルメイク。
でもこれ、ずいぶん抽象的な表現ですよね。こういうあいまいな表現をされるからどの程度にしたらよいのか迷ってしまうのかもしれません。
薄めの、って何が薄め?という感じがしますが、この場合は
何を薄くする?
- 肌(ファンデーション)
- アイシャドウ
- チーク
- リップ
のことを指しているんでしょうね。
高い位置に丸く入れたチークは可愛いけれどNG!可愛すぎると頼りなさそうに見えます。
実習指導者やスタッフより派手にしない
これは新人スタッフにも言えることなのですが、メイクの程度に迷ったら、指導担当者を含む実習先のスタッフより派手にしなければ安全です。
女性の身だしなみについては会社によって許容範囲が大きく異なります。特に、入社したての方は職場の許容範囲の見極めができるまで、注意される可能性がある服装は避けるべきです。ある程度は許容範囲がわかってきても、職場の女性や先輩より派手な格好は避けます。
(中略)
仮に、会社で決められたルールに反していなくても、先輩の服装を基準に自分の服装を考えます引用元: 舟橋孝之,瀬倉百合子.やり過ぎくらいでちょうどいい!印象に残るビジネスマナー+α
マニュアルで覚えず、理由から考える
これはこの先仕事をする全てにかかわってくることですが、マニュアルを丸暗記して、ただその通りに行動するだけではいけません。
ココがポイント
- なぜ〇〇しなければならないのか
- なぜ△△してはいけないのか
その理由を考えることで、自分で適切に判断する力がつくのです。
病院や施設というところは、リスクマネジメントをするために非常に多くのマニュアルがあります。
でもマニュアルが多すぎて、なぜそうしなければいけないのか、手続きの理由を学ぶに至らないことも残念ながらあります。そうすると、応用がきかず、次のリスクを防止できないこともあるのです。
マニュアルは大切ですが、思考停止のマニュアル脳になってはダメ。
メイクや身だしなみについても、上で述べたように、なぜノーメイクである必要がないのか、どうして派手なメイクではいけないのか、考える習慣をつけましょう。
理由から考え始めることをしなければ、あなたのメイクは経験年数とともにきっと悪目立ちしていくでしょう。
まとめ
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中には優しく、「実習は忙しいし緊張もして疲れるんだから、お化粧するより少しでも寝てくださいね」と諭してくれる先輩医療従事者もいます。
たしかにそうかもしれません。
でも私は尊敬する指導教授から「患者さんの前に出るときは、どんなに忙しくても(マナーとして)色付きリップくらいしなさいね」といわれたことをずっと守っています。
患者さんだってボサボサ頭でひび割れ唇のプロよりも、忙しいのに小ぎれいにしていて、健康的なプロのほうが心地よさを感じるはず。
忙しいんだから見た目なんて構っていられない、それはこちら側の都合です。
患者さんにとって、一番気持ちよく感じられることはなにかを考えられる実習生、そしてプロになってくださいね。